聞き間違いが多いことでお悩みの方、周囲にそういう方がいて困るという方向けに、原因を探ってみました。よく言われるのは「発達障害」ですが、耳や脳の病気の可能性は?改善法や直し方はあるか、周りの人間はどう対処すべきかについて調べてみました。
目次
「聞き間違いが多い」とは
とは・・・と言っても説明は不要かもですが;
『タモリ倶楽部』のひとコーナー「空耳アワー」でお馴染みですが、「本来の言葉とは違う言葉に聞こえてしまうこと」を言います。
笑えるものでいうと、
「殺菌成分入り石鹸」を「ラッキーセブン入り石鹸」、
「カネボウ化粧品」を「金儲け商品!」、
「ビール飲む?」を「BL読む?」
そのほか考えられるのは、「名古屋ドーム」を「ラブラドール」、数字の「1(いち)」を「8(はち)」、「アプローチ」を「跡地」、「外堀から攻める」を「ほとぼりが冷める」、「消毒液」を「ショートケーキ」、「採算」を「山菜」、「汚職事件」を「お食事券」、「プエラリア」を「ペラリラ」などなど・・・
「聞き間違いが多い」人はどう思われているか
ありえなさすぎて笑える、と、笑い話で済ませてしまえればいいのですが、
それも、頻繁ですとコミュニケーションがうまくいかず、問題視されるレベルになってきます。
内容や場面によっては、業務に支障が出ることもあります。
数字の「1」と「8」の間違いなど、凡ミスであっても、仕事上では重大なミスに繋がる可能性があります。
取引先を失ってしまったり、金銭的な損害を出してしまったり。
そういうことがあると、「この人には任せられない」と、社会的な立場が低くなったり、キャリア形成の道が絶たれたり、、、、
「会話が進まない」「この人と会話するの疲れるな」など思われてしまい、人間関係もうまくいかなくなります。
夫婦間でも、最初は笑えていたのに、だんだんイライラするようになった…と言う方も。
悲しいかな、「面倒」だけにとどまらず、「不快」「不愉快」と思う人もいるんですよね・・・
「関心示しているようで、無関心なのでしょう。
話の途中に違うことを考えていると、聞き間違いなど起こります。
集中力が人様より低下していないでしょうか?
過度な聞き間違いは相手に失礼ですよ。」
「「人の話を真面目に聞け」とか「ふざけてるの?」とか、言われたことはありませんか?
あり得ない聞き違いをする人って相手をイラッとさせますよね。」
(引用元:発言小町http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2014/0224/645187.htm)
なぜこう「失礼」とか「イラっとする」と思われてしまうかと言うと、聞き間違いをする原因が「集中していないから」だと思っているからではないでしょうか?
普通、聞き間違ったとしても、文脈から読み取れば正しい答えに補正されるはずですので、「聞き間違える」=その「文脈を捉えていない」=「話を聞いていない」と判断されてしまうんですね。
しかし、聞き間違いの原因は、本当に集中力にあるのでしょうか?
「聞き間違いが多い」原因として考えられること
「聞き間違い」が多発する原因として考えられること、よく言われることを挙げていきます。
- 相手の滑舌が悪い
- 耳馴染みのない言葉でピンとこない
- 会話に集中していない、聞こう・理解しようという姿勢がなってない
- 耳が悪い
- 脳に問題がある
相手の滑舌が悪い
まず、聞き間違いをする人ではなく、言葉を発する側に問題がある場合もありますよね。
相手から「聞き間違いが多い」と指摘されても、実はその相手自身の滑舌が悪いと言うことかもしれません。
他人にとって聞き取りにくい言い方をしていることに気づいていなくて、聞き取る側が悪いと思い込んでいるケースですね。
あまり多くの人間に接することのない環境での人間関係では、一対一の間で会話して、それを他人が判断する機会がなく、お互いが「聞き間違いが多い人だな・・・」「聞き取りにくいな・・・」と思い合っている可能性があります。
特に、聞き取りにくい話し方をする側が先輩だったり、上司や社長など、人事評価や人事決裁の権限を持っていたら厄介ですね;
本人にそれとなく言うことができればいいんですが、本人が気づいていなければ、ただの「悪口」や、自分が聞き間違いしがちなことの「言い訳」「責任転嫁」と思われてしまう可能性もありますから、リスクが大きいですよね。
その相手よりも高い立場の第三者を交えて会話したり、相談するなどして、自分の評価を低めないように、どういうやり方をすれば聞き取り違いを防げるか話し合う機会を設けるなどできればいいかもしれません。
耳馴染みのない言葉でピンとこない
次は、聞き取る側に原因がある場合の一つ目です。
その言葉が、自分にとって初めて聞く言葉だったり、馴染みの薄い言葉だったら、すぐにはピンとこずに、聞き取れないこともあります。
例えば小さなお子さんの場合、知らないことが多いので、聞き間違いもかなり多いです。
「汚職事件」を「お食事券」、というのは私も経験がありますが、子供にとっては「汚職事件」なんて一切縁のないものですし、同じ音で違う言葉があれば、そちらの方が先に思いつくのは当然のことですよね。
大人でも、全く興味のない分野、今まで接したことのない業界の用語をいきなり言われても、全くもって理解できないということ、ありませんか?
本当に存在する言葉かどうかもわからないし、どういう字を書くかも想像できないし、日本語か外国語かもわからない・・・・
なんて経験は、少なからず誰でも覚えがあるのではないでしょうか。
自分の中に、その世界の文化も常識も価値観もインプットされていないので、想像しようにもできないんですよね。
大げさにいうと、全くの異世界に来たような感覚になります。
これはもうどうしようもないですよね。
その世界を知っていくしかない。
聞く側に原因があるけど非は無いし、改善していける原因ですね。
会話に集中していない
聞こう・理解しようという姿勢が無い
聞き間違いをよくしてしまう時に、一番耳が痛い、ハートにくるやつですね;
本当に会話に集中していない場合
ただ実際、会話をよく聞いていない人、会話しながら別のことを考えている人は、「え?」「なんて言った?」と、聞き返すことが多いですよね。
夫婦や家族の会話だと、結構こういうことが多いのでは無いでしょうか?
普段外では気を遣ってるから、家では気を緩めたい、気を遣いたく無い、自分の考えたいことを考えたい時に考えたい・・・
気持ちはわかりますが、やられている方は、会話を聞いてもらえなくてがっかりしたり悲しい思いをしますよね。
笑える言い間違いで、家庭に笑いが絶えない・・・というならいいんですが、
「自分との時間・会話を大事にしていない」
相手がそう捉えたら、人によっては、悪意を向けられたとばかりに、逆に悪意を持って接してくることもありえます。
人間関係うまくいかなくなりますよね。
全ての会話に集中しなきゃいけないということだと息が詰まりそうですが、
親しき仲にも礼儀ありで、会話をするなら会話に集中し、集中したく無いタイミングだとちゃんとそう伝えて後で話をする機会をセッティングするなど、コミュニケーションをしっかり取れれば、解決しそうですね。
集中したくてもできない:発達障害
集中したくなくても、いろんなきっかけでいろんなものに興味が向いて集中が持続しない脳の障害があります。
それが、発達障害と言われるもののうち、ADHD(注意欠陥多動性障害)や、ADD(注意欠陥障害)です。
名前の通り、注意に欠陥がある脳の機能障害です。
脳の働きは、そう簡単にはコントロールできないものです。
集中したくても、集中が持続しないんです。
集中するには、相当な意思の力で集中力を絞り出さなければいけないのです。
ただし、短時間であれば、集中しようと思えばできますので、「今から話をしますよ」というインフォームがあって、「よし聞くぞ」と思えば聴き取れるようなので、話しかけてこちらが聞く姿勢になってから要点を言うようにお願いすれば改善できそうです。
長時間の会議などでは、集中力が持続しにくいので、頑張って集中力を持続するように意識するしかないですね。
もしくはスマートドラッグの利用も、視野に入れてもいいかもしれません。
スマートドラッグの使用については是非が問われておりますが、海外では治療薬として効果的に使用されています。
「アデロール」はADHDの治療薬として使われているそうです。
アデロールは日本では認可されておりませんが、スマートドラッグは他にもあります。
DMAEは、アメリカではADD、ADHDの治療薬として使用されており、日本でも入手可能です。
職業上どうしても長期で集中したい、しなければいけないと言うのであれば、サプリメントに頼ることも有効な手段だと思います。
服用している処方薬があったり、何かしらの治療中なのであれば、担当の医師に相談してから使用することをオススメします。
話しかける側にも問題あり?
集中していない・・・と一方的に断罪できるものかどうか、という疑問が頭をもたげます。
話しかける相手にも問題あり、の場合あり。
と思います。
いきなり話しかけた場合でも「ちゃんと聞いてろ」というのは、あまりにも一方的な気がするんです。
発言小町などで調べると「聞く姿勢を整えてからならちゃんと聞ける」という意見もありましたし、
話しかける側も、相手が話を聞ける状況かをまず確認し、聞く体制になったら大事なことを話し始める、という姿勢が必要では無いでしょうか。
耳が悪い
実際耳が悪い場合もあるようです。
聴覚の問題
聴覚検査ではひっからないけど?と疑問に思う人もいるでしょう。
人の聴力で聴き取れる範囲は、20〜20000Hzですが、
職場や学校で行う聴覚審査は、1000Hzと4000Hzという二つの音(周波数帯)しか検査しないようなんです。(Hz=ヘルツ)
それぞれ、1000Hzで音量30dB、4000Hzで音量40dBであれば正常だそうです。(dB=デシベル)
これは、低音と高音が聞こえているかをテストするもので、この聴力があれば生活に支障はないレベルだからだそうです。
ただし、言葉の聞き取りとなると、また別のようです。
なぜなら、人の会話は概ね250〜2000Hzの間で行われます。
健康診断での簡易な検査では250〜999Hzと1001〜2000Hzは検査されませんから、この部分が聞こえなくなっている場合に、聞き取れない音が出てくるというわけですね。
集中して何度聞こうとしても聞き取れない、という場合は、聴力の精密検査を受けてみた方が良さそうです。
難聴の種類と耳の「聴こえ」に影響のある病気
音を感じるのは脳です。
耳の中の空気が、音波を伝え、外耳・中耳が伝えた振動を、内耳が電気信号に変え、その電気信号が蝸牛神経(聴神経)を通って脳に伝わり、音として認識します。
そのどこかに問題があれば、音はうまく伝わりません。
伝音難聴(伝音性難聴)
外耳と中耳に問題があるのが、伝音(でんおん)難聴です。
要は、音を振動として伝達する部分に問題があるということです。
耳垢塞栓、中耳炎や、外耳道炎、耳硬化症、中耳奇形がこれにあたります。
感音難聴(感音性難聴)
内耳、蝸牛神経(聴神経)、脳に問題があるのが感音(かんおん)難聴です。
振動を電気信号に変換する部分、電気信号を脳に伝える部分、伝えられた電気信号を音や言葉に変換し直す部分に問題があるということです。
急性突発性難聴、騒音性難聴、加齢性難聴、先天性難聴、メニエール病、薬剤性難聴、聴神経腫瘍がこれにあたります。
混合性難聴
伝音難聴と感音難聴の両方が混じったものが、混合性難聴です。
いずれも、薬や手術、補聴器で概ね改善可能です。
ここに挙げたものは、「聴覚は正常なのに」という条件には当てはまらないですが、突発性の病気の場合だったり、聴覚審査と時間が空いた場合には、本人としては「聴覚に問題はない」と思い込んでいる可能性もあります。
この場合、聞き返してもよく聞き取れないはずですので、耳鼻科で診察を受けてみましょう。
脳に問題がある
脳の問題というと、電気信号が脳に伝わったあと、音として処理する部分に問題があるという場合です。
ここでは、前に挙げた「感音難聴」とは別の問題を取り挙げます。
聴覚情報処理障害(APD)
APDは、Auditory Processing Disorderの略で、耳の「聴こえ」に関する聴覚には特に問題はないのに、「聞き取り」に問題があると言う障害です。
伝音難聴、感音難聴と並びたつ聴覚障害の一つと言われており、
症状の一つに、「聞き返しや聞き誤りが多い」と言うものがあります。
聴覚情報処理障害が起こる背景的な要因
- 注意力の問題
- ワーキングメモリの問題
- 推測能力の問題
- 音韻意識の発達の問題(子供の場合)
- 発達障害
- 精神障害
なんかがあるようです。
つまりは、音は聴こえているけど、それを言葉に正しく解釈するのが苦手、聴いたことを覚えていることが苦手、と言うことでしょうか。
発達障害や精神障害があると、判断というか、症状の切り分けが難しいそうです。
まずは発達障害や精神障害があるかどうか、診断してから、聴覚について調べることになりそうです。
聴覚情報処理障害かもと思ったら
症状一覧
まずは下の項目に当てはまるかをチェックしてみてください。
- 聞き返し、聞き間違いが多い
- 雑音・騒音下での聞き取りが難しい
- 口頭で伝えられたことを忘れやすい、理解しにくい
- 話が長いと、意識して聞き続けるのが困難
- 視覚情報より聴覚情報の理解・処理が困難そう
聞き間違いの多さの改善法・直し方
色々と、原因と思われることを挙げてきましたが、聞き間違いを改善する方法はあるのでしょうか?
それそれの原因のところでも述べてきましたが、ここでまとめてみましょう。
話しかけてくる相手が原因の場合
話しかけてくる相手が原因というのは、
- 相手の滑舌が悪い
- 相手の状況を顧みず、いきなり要点を話してくる
この2つの場合ですね。
「滑舌が悪い」とは言いにくいので、周りを味方につけましょう。
それとなく関係する第三者に、その人が滑舌が悪いのであって、自分の聴き方が悪いのではないと理解してもらうということです。
いきなり要点を話してくるような相手には、「え〜、すみません、もう一度言っていただけますか?」とビジネスライクに返して見るなどしましょう。
聞き間違いを露呈させることもなく、今別のことをしてたから、相手の話を聞く準備ができてから聴きたいよ、という意思もそれとなく伝えられると思います。
徐々に相手の行動が変わらないのであれば、「作業に集中してしまいがちなので、一度声をかけて聴く体制を整える時間をいただけませんか?」とお願いしてみてはいかがでしょうか?
話を聞く側の問題の場合
話を聞く側の問題とは・・・
- 耳馴染みのない言葉で聞き取りようがない
- 会話に集中していない、会話を聴く態勢が整っていない
- 気づいてないけど実は聴覚に問題あり
- 脳での言葉の認知に問題あり
というようなことですね。
耳馴染みのない言葉、については、「その分野についての知識がない」ということを相手にわかってもらって、かつ、これから知っていくように努力するしかないですね。
会話に集中していない、については、認知に問題がなく実際に会話をないがしろにしているのであれば、会話をするのであればある程度集中すると決めた方がいいですね。
集中力に問題があるのであれば、人が話し出したらそちらに集中する、という癖をつけるといいと思います。
それはADHDやADDであっても、本人の意思の力である程度はコントロールできるはずです。どうしてもコントロールできないのであれば、これ以上はできないんだと、自覚するとともに、周りにも認識してもらうしかないですね。
気づいてはいないけど聴覚に問題がある場合ですが、その可能性が疑われるのであれば、まず、健康診断の簡易な聴覚診断の結果を鵜呑みにせず、精密聴覚検査を受けて見るといいと思います。
あとは、治せるものであれば治療して治すことですね。
治せないのであれば、耳に問題があるのだと、周りに認識してもらう。そうすればある程度は大目に見てもらえるはずです。
大目に見てもらえないのであれば、転職も考えましょう。ストレス抱える必要ないです。
脳の機能に問題がある場合ですが、これは自分では気づきにくいかと思います。
まずは聴覚の精密検査をして、それで問題ないのに聞き間違いが治らないのであれば、脳の方に問題があるかもと、そちらの方の検査をして見るといいと思います。
聴覚の検査をした耳鼻科に紹介状を書いてもらいましょう。
聞き間違いは、本人の自覚で治せるものと、治せないものがあります。
ただ、いくら「失礼」と思われても、本人にはどうしようもない場合があるんです。
聞き間違いが多い自分は失礼なのかな?とむやみに落ち込まず、原因を特定するよう努め、自分を楽にしてあげましょう。