インフルエンザの新薬として、満を辞して登場した「ゾフルーザ」。
インフルエンザへの高い効果を期待していたのですが、、、問題があることが発覚しました。
それは「耐性ウィルス」
・・・・って、どういうことなんでしょう。
ゾフルーザ飲んじゃまずいの?副作用?タミフルみたいに異常が出る?そもそもどんな薬?評判はどう?医者から処方されるがままに抗インフルエンザ薬を飲んでいいのか?
詳しく調べてみました。
朝の情報番組『スッキリ』でも紹介された驚きの事実とともに紹介します。
目次
抗インフルエンザ薬の新薬ゾフルーザとは
新薬として話題の「ゾフルーザ」ですが、どういう薬なのでしょうか?
製造が許可されたのは2018年2月23日で、同年3月14日に販売開始されました。
開発・販売元は大手製薬会社のシオノギ(塩野義)製薬です。
正式名称は「バロキサビルマルボキシル錠」で、10mgと20mgがあります。
服用から24時間で効果が出ます。
インフルエンザA型、B型に効果があるそうです。
(C型や、他の感染症には効きません)
この記事を執筆時点(2019年2月)で、販売開始から約1年というところですね。
これまでたくさんの患者さんに投与されてきたと思います。
実際、2018年に販売開始されてからは、ゾフルーザが抗インフルエンザ薬処方の50%以上を占めているという病院もあり、ある調査では今後ゾフルーザの処方を強めたいという医師が全体の半数を占めたそうです。
これは、、、抗インフルエンザ薬の「下克上」…
歴史が塗り替わる…!?ってなゾフルーザフィーバーが起きているようなんですね。
大人気の理由は、ゾフルーザの特徴によるようです。
既存抗インフルエンザ薬との違い(比較)1:投与回数
何より大きいのは、投与が1回で済む(完結)ということです。
これまでの抗インフルエンザ薬の多くは、何回も投与する必要がありました。
タミフル:1日2回x5日間
リレンザ:1日2回x5日間
なので、1回で済むということは、患者にとっても面倒がないし飲み損ねることもなく、薬の効果を十分に享受できないリスクも、飲み残した薬を勝手に患者が飲んでしまうリスクもなくなります。
利便性が高いですね。
例外で「イナビル」という薬は、ゾフルーザと同じく投与は1回で済む薬のようですが、、、、これはこれで問題が↓
既存抗インフルエンザ薬との違い(比較)2:薬の服用方法
「イナビル」は1回の投与だけでいいのですが、問題は服用方法が「吸入」ということです。
粉剤を肺にまで吸い込む必要があるようです。
吸入の仕方が少し複雑で、難しいんです。
- まず、奥まで咥える(とあるが奥ってどこまでか?)
- 咥える時は下を向いていていいが、下を向いたまま吸ってはいけない。
- 体を起こしながら吸い込む。
- 吸い込んだら2〜3秒息を止める。
これは、乳幼児や小さな子供にはちゃんと服用してもらうことが難しいですね。
また、肺活量が衰えたり肺臓機能や認知機能に問題が出ている高齢者にも難しいです。
一方で、「ゾフルーザ」は、飲み慣れた「錠剤」ですので、乳児以外であれば投与はまあ簡単と言えます。
お子さんの場合だと「飲みたくない」ということもあるかもですが。
飲み薬なら、高齢者も慣れていますし。
口腔、咽頭、食道、消化器に問題がなければ、服用可能ですね。
既存抗インフルエンザ薬との違い(比較)3:薬価
ゾフルーザは、新薬だからか?ちょっとお高めです。
(以下、3割負担の場合。単価x投与回数で算出)
ゾフルーザ:約1500円
イナビル:約1300円
リレンザ:約900円
タミフル:約800円
タミフル(ジェネリック):約400円
かなり高い印象ですね!
それに比べてタミフルのジェネリック安い!
新薬はすぐにはジェネリックができないので、かなりのデメリットかと。ゾフルーザ不利。
ただ、ゾフルーザは、今までの薬とは原理というか、効果的な強みが違う↓んですね。
既存抗インフルエンザ薬との違い(比較)4:薬の効果
今までの抗インフルエンザ薬は、人間の体内に入った「インフルエンザウィルスをヒトの細胞内に留めて、細胞外には広めない」ことに効果がある薬でした。
なので、ウィルスが増殖したとしても、個々の細胞内だけに留まるため、結果的に体全体で見ると増殖が抑えられる形ですね。
一方で、ゾフルーザは、増殖自体を阻害します。
なので、重症化しにくいのかなって。
そして、増殖しないので、やっつけるウィルスの数が少なくなるので、体内からウィルスがなくなるまでの時間がかなり早くなるそうです。
ただし、ただし、
インフルエンザの症状が改善する(退く)までの期間は、今までの薬と変わらないそうです。
タミフルと同じくらいだって。
あれ?あんまり意味がない?笑
でも多分、ウィルスが早く体外からいなくなるということは、インフルエンザウィルスを撒き散らす期間が短くなるので、流行がしにくくなるのかも!
と思うと、一人の症状を改善する効果はそう変わらなくても、より多くの人の感染リスクを減らすという意味では効果が高くてありがたいのかもですね。
ゾフルーザが効かない・効きにくい理由は「耐性ウィルス」?
さてさて、なかなか、悪いものではなさそうですが、なぜ「効きにくい」「効かない」なんて言葉が聞かれるのでしょうか?
最近、ゾフルーザに、ある特徴があることがわかったんです。
ゾフルーザを服用した人の体内に、「耐性ウィルス」という、薬が効かないウィルスが発現したのです。
しかもその割合が結構高いようで、発現率は服用した人の約1割(9.7%)とのこと。
10人飲めば、1人から耐性ウィルスが見つかる。
小児の場合は、約2割(23.4%)だそうですので、10人飲んで2人から。
今期は累計患者数764万人を記録したそうですので、その半数にゾフルーザが処方されたとしたら、ざっくりと約4万人から耐性ウィルスが見つかってしまいますね。
体内に、薬への耐性があるウィルスが増殖すれば、耐性ウィルスがない時と比べて薬は効きにくく、治療は長引きます。
朝の情報番組『スッキリ』に出た医師によると、
インフルエンザの症状が治るまで、
薬服用で耐性ウィルスがない場合、約50時間、
薬服用で耐性ウィルスができてしまった場合、約63時間、
ということで、耐性ウィルスができてしまった場合は、そうでない場合に比べて、治療にかかる時間が約11時間〜13時間延びてしまうそうです。
う〜ん;
これでは、高いお金を払ったのに、あまり効果はよろしくないケースが頻発するのでは、コスパが悪いかも・・・!
ちなみに、
薬を服用しない場合、約80時間
なので、薬を全く服用しない場合よりは、17時間も早く治りはするんですが、それって体感的には1日早いかな?くらいなんですよね。
耐性ウィルスがなければ体感的には2日早く治る感覚なんですが。
ちなみに、子供の場合は、11〜13時間ではなく30時間プラスになるようです。
これではほんと、あまり飲む意味がないかな;
あと、
現状では、耐性ウィルスへの感染は確認されていないようですが、あくまで現状では、です。
ゾフルーザが効かないインフルエンザウィルスが感染するようになって広まってしまうと、ゾフルーザがほとんど効かなくなる可能性が出てきますよね。。。
ちなみにこの「耐性ウィルス」の発現は、実は、タミフルでも確認されています。
しかし、発現率はゾフルーザよりは低く、大人で4%、小児で0.3%だそうです。
断然低く思えますね。
タミフルがすごくいい薬に見えてくる。
ゾフルーザ活用の可能性
ゾフルーザの場合、B型では耐性ウィルスの発現は確認されていないようなので、B型インフルエンザには使用しても問題ないそうです。
また、鳥インフルエンザ(A型インフルエンザの亜型)みたいな、新型インフルエンザが出てきた時に、「増殖を抑える」という強みを生かして、タミフルなど他の抗インフルエンザ薬と併用するような活用方法が有効であると考えられるそうです。
新薬ということで、今までの薬よりも効くのかな?と勝手にいい薬と考えてしまいますが、そういう思い込みは捨てないといけませんね。
ゾフルーザの副作用
最後に、ゾフルーザの副作用について記しておきます。
- 異常行動(インフルエンザ自体にある特徴)
- 下痢
- 頭痛
- ALT(GPT)(肝細胞)増加
- AST(GOT)(肝細胞)増加
ALT(GPT)、AST(GOT)は「肝細胞」と書きましたが、肝細胞が壊れると血液中に剥がれ漏れてくるもののようですので、薬を服用すると、肝臓がやや壊れる、ということでしょうか。まあ、細胞は何万何億とあるものですから、多少壊れたところで、健常者であれば問題ないレベルかと思われます。
下痢は1%以上の発現率、それ以外の症状は1%未満だそうです。
肝細胞漏れも1%未満なら、まあそんなないだろうから気になりませんね。(私は)
その他、以下は服用要注意となっています。
- 「高度の肝機能障害」罹患者(未使用のため影響不明)
- 妊婦(安全性未確認)
- 授乳中の女性(安全性未確認)
- 低体重出生児、新生児、乳児(未使用のため影響不明)
- 乳への耐性に問題がある人(乳糖不耐症、乳アレルギー)
しかし、ゾフルーザは新薬ですので、臨床例が少ないです!
まだまだ、ここに書いていない副作用、問題が出てくる可能性があります!
ゾフルーザは投与患者数700例ない状態で販売に踏み切っています。
投与を進めていって、臨床例を積まないと出てこないものとはいえ、新薬って怖いところもあるんだと、患者側も認識しておくことが大事かと思います!
以上、参考になれば幸いです。
>>>インフルエンザってどんなもの?症状、潜伏期間などまとめ