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汗が臭い本当の原因と匂う仕組み

汗自体に匂いはあるの?
さて、「汗=臭い」と思いがちですが、本当にそうなんでしょうか?
実は、汗って、それ自体は臭いものではないみたいなんです。
汗は水ですし、中に含まれるのも、ほとんどは匂うものではないそうです。
じゃあなんで「汗=臭い」というイメージがついてしまったんでしょうか?
まずは、汗の種類から見ていきます。
汗を出す汗腺は2種類あった!
汗が出てくるのは「毛穴」で、
汗を出すのは毛穴の中にある「汗腺」という機関です。
そして、その汗腺には2種類あると言われています。
全身の汗:エクリン腺
全身にあるのが「エクリン腺」と呼ばれる汗腺。
数は、1㎠あたり、100個!
爪の大きさくらいの中に100〜200個は汗腺があることになります。
すごい数ですね。そんなに毛穴あったっけ;?
と思いましたが、エクリン腺は毛穴の中にあるわけではないそうです。
全身で言うと、少ない人で200万個、多い人で500万個。平均すると約350万個だそうです。
ちょっと想像つかない。
その全てから汗を出しているのかと言うと、そうではなく、
実際に汗をかく「能動汗腺」と呼ばれる活動しているものは全体の半分前後で、その割合は、生後3年間で過ごす地域の気温によって異なるそうです。
要は暑い地域の人は能動汗腺が多く、寒い地域の人は能動汗腺が少ないと。
役割としては、全身に分布して、小粒の汗を出し、体温調節をしているそうです。
全身からじわじわ少しずつ汗をかいて、体温調節などをしているので、暑い地域の人の方が、暑い時の体温調節が得意だと言えますね。
主に腋(脇)の汗:アポクリン腺
役割としては、体臭の原因となる汗を産生すること、つまりは「フェロモン」のような役割とのこと。
多くの動物で、仲間同士の確認や異性を引きつけるフェロモンのような役割を担っており、四つ足歩行の場合だと、顔の近くやお尻周りにそういった匂いを発する場所があるのは合理的なんですよね。
人間の場合は直立歩行に移行したため、腋や耳の中、胸など相手の鼻に比較的近い位置にあるのも納得です。
数としては、人種差や個人差が激しいそうです。
〜やや脱線〜
ちなみに恋愛遺伝子とも言われる「HLA遺伝子」の存在により、女性は、異性が遺伝的に近いか遠いかを判断できるとのこと。
お父さんや兄弟の匂いを「クサイ!!!」と思ってしまうのは、このためですね。
進化を遂げた人類であっても、匂いは未だに重要な役割を担っているのですね。
でも、この匂い、好みがあって、万人に受けないとは言えないのですが、それでも一定数は苦手という人がいるわけで、「公害」認定されるものなのは間違い無いでしょう。
汗が匂う原因
さて、エクリン腺やアポクリン腺からの汗、どちらも、出てきたての汗は無臭といってもいいそうです。
汗自体が匂う場合
基本的に無臭な汗ですが、それが、汗自体が匂う場合も稀にあるそうですので、まずその原因を紹介します。
エクリン腺からの汗自体が匂う場合
ズバリ、ストレスと疲労が原因です!
エクリン腺からの汗は、99%が水分だそうなんですが、残りの1%に含まれるものがあって、それが・・・
- 塩分
- 尿素
- アンモニア
だそうで、ストレスを受けたり疲労が溜まると、血液中の乳酸とアンモニアの濃度が増し、必然的に汗に含まれるアンモニア濃度も増加すると。
エクリン腺からの汗は「蒸発しやすい」という特徴を持っているので、アンモニアを多量に含んだ汗が蒸発して周囲にアンモニア臭が撒き散らされるというお話のようです。
汗で酸っぱいすえたような匂いがするのも、このアンモニアのせいだそうです。
アンモニアって、通常であれば肝臓で「尿素」に変わるそうなんです。
で、それが腎臓に行って、漉し取られて、尿として排出されたり、一部血液に戻ったりして、汗として出たりして。
でも、肝臓が処理しきれないアンモニアがあると、血液に残りすぎて、それが汗からも出てしまうそうなんですね。
なので、肝臓・腎臓の機能が弱っている場合も、汗が臭くなります。
また、血行不良の場合も、同じように乳酸とアンモニアの濃度が増え、同じように匂うようです。
アポクリン腺からの汗自体が匂う場合
ズバリ、匂いで異性に主張するためなんですが、アポクリン腺からの汗には以下のものが含まれています。
- タンパク質
- 脂質
- 鉄分
これが、汗の匂いの元になるそうです。
アポクリン腺が存在するのは、主に「陰部」です。
陰部って、いわゆる「デリケートゾーン」という意味よりも広義な「オープンでない場所」という意味で、です。
耳の中、腋の下、乳輪、VIO部分(デリケートゾーン)は、普段は服の下にあったり、体と体が合わさったり近づいたりという、風通しの悪い場所にありますよね。
そういった場所は、雑菌が繁殖しやすい場所でもあります。
そして、汗の中に含まれるタンパク質、脂質、鉄分を餌に雑菌が繁殖し、餌を分解した後の生成物などによって、匂いが発生してしまうというメカニズムなんです。
汗自体は臭くないけど「汗が臭い」2つのパターン
1:汗と結びついた皮脂、角質、垢が臭っている
汗に脂質などが含まれる、と書きましたが、アポクリン腺は毛穴の中にありますから、毛穴が詰まりがちで「角栓」「角質」「皮脂」がたくさんあると、さらに匂いは濃くなります。
これがいわゆる「ワキガ臭」ですね。。。
濃厚な匂いがします。
また、お風呂に入っていない場合、入ったけどちゃんと洗えていない場合、もしくは、アトピーや皮膚疾患などでターンオーバーが早くなりすぎたり遅くなりすぎたりして、古い角質が皮膚の上に多量に残っている場合、
垢や角質と汗が結びついて、雑菌がそれを分解して繁殖し、菌の分解生成物によって、匂いが発生します。
汗の中にアンモニアが含まれている場合、通常「酸性」である皮膚表面が、「アルカリ性」に傾きますが、アルカリ性の環境では、雑菌が繁殖しやすくなるそうです。
なのでストレスが多く疲労が蓄積されていたり、血行不良だったりする人、腎臓・肝臓機能が弱っている人は、さらに匂いやすいと言えます。
2:汗がついた服が臭っている
汗は臭くなくても、服に汗がついて、その服で雑菌が繁殖して匂う場合もあります。
また、洗濯しても洗いきれない「皮脂」がある場合、さらに匂いやすくなります。
汚れが落としきれない肌着とかって、洗濯して乾いた後にものすごく臭くないですか?
あれは、皮脂などの汚れを餌として、乾かしてる間に雑菌が繁殖しているからなんですね。
で、さらに汗を吸ってさらに餌が増えて、温度も36〜40度近くで菌繁殖には絶好の温度で、さらに雑菌が繁殖し、さらに臭くなると。
体自体は臭くなくても、服が臭いので、体を拭いたのにまだ臭い、なんていうことにもなるんですね。
汗の匂いを消すための7つの対策
さて、そんな汗由来のクサイ匂い。
どうやったらなくせるのでしょうか?
即効性のある短期的な対策と、ロングスパンで効果を出していく長期的な対策と、2軸で取り組んでいきましょう。
汗の匂いを消すための短期的対策5つ
1:出かける前にシャワーを浴びるか、全身を拭き取る
2:吸湿速乾機能の下着を着る
汗をよく吸い取るからと、「綿」の下着を推薦している人がいますが、綿は、汗を吸い取りやすく「乾きにくい」のが特徴です。
乾いた状態が続くと、雑菌が繁殖しやすくなりますので、綿はあまりオススメしません。
化繊であっても、汗を吸い取りやすく、乾きやすい、「吸湿速乾」性に優れた下着を選びましょう。
ブラもできたら、吸湿速乾がいいですね。
アポクリン腺が分布している「腋」や「乳輪」が近いので、汗がずっと乾かない状況では匂いやすくなってしまいます。
できたら、蒸れにくく、乾きやすい素材を選ぶようにしましょう。
また、下着を洗う際はおしゃれ着洗いで、優しく洗うことが多いですが、そのため汚れが落ちにくくもあります。
乳輪が当たる部分は汗ジミ落としの洗剤をピンポイントで塗ってから洗濯するといいと思います。
「ウンナナクール」や、トリンプの「アンライン」に吸湿速乾のものがあるようですよ。
3:汗はこまめに拭き取る
すごく単純で当たり前のようですが、超重要です。
通勤したら、汗拭きシート。
昼休憩で、汗拭きシート。
退勤時に、汗拭きシート。
4:多汗症なくらいであれば、下着をこまめに取り替える
5:腋の下のクレンジング
- クレンジングを手に取る
- クレンジング剤を腋につけ、ぐるぐるとマッサージする
- よく洗い流す
汗の匂いを消すための長期的対策2つ
1:食事改善
食事は大事です。糖質制限もせずに脂質の多い食事をしていると、血中の脂肪も増え、汗と一緒に出てきたり、毛穴を詰まらせたりして、ニオイの原因になります。
甘いものも、アポクリン腺を活発にすると言われています。
脂っこい食事・おやつ、甘味は、控えましょう。
バターたっぷりクリームたっぷり砂糖たっぷりのスイーツなんて、最悪ですね。残念ですが、匂いを気にされている方は、しばらく控えるようにした方がいいですね。
また、汗を増やしたり匂いを増強すると言われている食べ物がありますので、それらを取らないようにするのも手です。以下は控えるようにしましょう。
唐辛子、香辛料、にんにく、乳製品、脂の多い肉、アルコール
逆に、匂い対策になる食べ物もあります。
抗酸化食品:緑茶、緑黄色野菜
腸内環境を整える食品:こんにゃく、海苔、海草、
適度の油:オリーブオイル
2:汗腺機能回復
汗をかかないと、血液もドロドロして、いざ汗をかいたときに、ドロッと濃厚な臭くなるリスクの高い質の汗をかいてしまうことになります。
汗はほどほどにかいた方がいいんですね。
- 冷房を効かせすぎない(外との温度差が出過ぎないよう)
- 冷房の効いた室内では、長袖を着るなどして体温調節する
- 座りっぱなしにせず、足を動かす
- 水分は十分とる
- 適度に運動する
- シャワーだけでなくお風呂に浸かるようにする
暑いと汗が出るものですから、冷房がよく効いた室内にいるばかりでは汗をかくことがなくなり、汗腺も衰えてしまいます。
冷房はつけるにしても、程よく汗をかくくらいにしましょう。
自分の好きなように調整できないなら、長袖を羽織って、冷えすぎないようにしましょう。
足に水分がたまりすぎるのも良くないです。トイレの時に水分を出せるように、足をほどほどに動かして、むくまないように気をつけましょう。
トイレで尿として水分を排泄できるよう、汗を出せるよう、こまめに水分を摂りましょう。
一駅ぶん自転車にする、自転車で行っていたところを徒歩にする、エレベーターをやめて階段にする、などで日常に運動を取り入れるとか、お風呂はシャワーで済まさずに湯船に浸かるなど、汗をかく習慣を取り入れ、汗腺を働きやすく保つことも大事です。
適度に汗をかくことで、毛穴の中の汚れやつまりを解消したり、毛穴を柔軟に保ちやすくする効果もあります。
そうするとさらに、ニオイの原因を少なくすることができます。
汗の匂い対策で、長期的にはオススメしないこと
1:香水でごまかす
短期的には有効ですが、香水の匂い自体が他の人の迷惑になる可能性もあります。
また、香水がついた肌で日に当たると、その部分がシミになってしまう可能性も高いです。
それに、根本解決にはならないし、やはり服は臭いままで、よくよく嗅げば臭いので、その場しのぎにしかならないと思います。
2:汗をかかないようにすること
汗をかくと匂うと思って、汗をかかないようにすることは、実は逆効果です。
例えば、
- デオドラントスプレーや塗るタイプのデオドラント用品を使う
- 水分を取らないようにする
これらはどちらも、汗をかかないようにすることで、血液をドロドロにして、ニオイの原因になる物質を溜め込んでしまいます。
そして、いざ汗をかいた時に、余計に臭くなってしまう可能性が高いです。
また、スティックタイプのデオドラント用品の場合、何度か使ううちにそのスティック自体が汚れや雑菌で汚染される可能性があります。
手で塗るクリームタイプの場合だと、手についた汚れで毛穴を汚染する可能性があります。
また、スプレーであっても、デオドラント用品の成分を塗ることでかぶれたり、肌質が悪化する可能性もあります。
そうすると、毛穴が詰まって、ニキビや吹き出物ができる可能性もあり、ニオイ以上の問題に悩まされる可能性もあります。
汗は、かくのが正常な状態です。
かいた上で、臭わない・ニオイにくい方法を実行しましょう。