乳児用の液体ミルクってご存知でしょうか?2018年3月12日の厚労省の動きを受け、「液体ミルクの国内販売が2018年今夏解禁か?」なんて報道がされましたが、気になったので液体ミルクについて少し調べて見ました。
液体ミルクとは?特徴とメリットデメリット
液体ミルクの特徴
そのまんまなんですが、液体ミルクというのは、母乳の代替品のうち液体のものを言います。
要は、粉ミルクの液体版ですね。
栄養価的にも、遜色ないと言われています。
- 無菌充填のため常温保存が可能
- 賞味期限は未開封状態で5ヶ月〜1年、開封状態で2時間
- 開封後は冷蔵保存
- 常温でも飲める
- 一回飲みきりサイズと数回分の大きいサイズがあり
- 一回飲みきりは、ニップルをつけて哺乳瓶のように飲める
- 紙パックとプラボトルがある
- 底にミネラル分などが沈殿する(振って混ぜればOK)
粉ミルクと液体ミルクとの比較(メリット・デメリット)
メリットは青字、デメリットは赤字で表示しています。
粉ミルクのメリット・デメリット
作るために材料・器具・インフラが必要
- 水が必要
- 水の質にも気を使う
- 水を沸かす熱源が必要
- 消毒器具が必要
手間と時間がかかる
- 水を70度以上で粉ミルクを溶かした後、体温くらいに冷ます必要あり
- 粉ミルクの量、お湯の量をきちんと計る必要がある
- 手間がかかるし、飲める状態になるまで時間がかかる
- 毎回使用後使用前に、哺乳瓶の洗浄・消毒が必要
誰でも簡単にできるわけじゃない
- 手間と時間がかかるため、誰でも即簡単にできるわけではない
開封後長くて1ヶ月放置のため、衛生面のリスクが大きい
- 賞味期限が開封後1ヶ月、未開封1年以上
- 保管状態によっては品質に問題あり(ダニ、カビ、雑菌、劣化)
- 哺乳瓶やニップル(吸い口)の消毒漏れの可能性
液体ミルクよりは安い
- 1缶2000円前後、1ヶ月10000円前後(一日300円)
開封後1ヶ月って、長いじゃんいいじゃんと思うかもしれないのですが、そこまで開封した状態で放置することって、あまりよくないんですよね。
普通は1週間で無くなるらしいんですが、仮に、まだあるのに新しい缶を開けてしまって、古い方を放置して1ヶ月以上経った時に、まだいけるだろって飲ませてしまったり、気づかずに、新しい方だと思って使ってしまうこともありますよね。
夜中何度も授乳で起きて、寝不足でぼーっとして、薄暗い中で作ってたら、そうしてしまうかもしれないです。
栄養たっぷりのミルクですから、カビも(湿気がある場合)、ダニも、ゴキブリも、その他の虫も、雑菌も繁殖しやすいです。開封後しばらく置いておく大入り商品って、そういうリスクがありますね。
ミルク作るときに菌や異物が混入する確率も高いです。
最初は70度以上のお湯で作り始めますが、冷ますので、温度が低くなっていくと、菌が繁殖しやすい温度になります。
温度を計らず感覚で作ってしまうと、最初が70度以下でスタートすることになり、温度による滅菌ができません。ただただ菌を繁殖させることになる可能性もあります。
液体ミルクのメリット・デメリット
作るために自分で用意するものが何もない
- 必要なものは全て用意されている
飲むまでの時間と手間がかからない
- 本体を開封し、ニップル(吸い口)も開封し、ニップルを本体につけるだけ
- 常温でも飲めるので、温める必要なし
飲んだ後の片付けも簡単
- 飲んだ後は捨てるだけ(数回分のボトルなら、容器を洗う必要あり)
誰でも簡単に授乳できる
- 作らないので作り方を知ってる必要がない
- 調乳の必要もない
衛生面が安心
- 滅菌後充填なので、使い切りなら、無菌・無微生物で安心
外出時に便利
- 機内持ち込みOK(乳児同伴条件で)
- バッグに入れるだけでいいので、すぐに外出できる
一度開封したら冷蔵保存でも賞味期限は短い
- 賞味期限は、開封後2時間〜48時間、未開封5ヶ月〜1年
粉ミルクよりだいぶ高価
- 海外では粉の2〜3倍の価格
- 海外からの輸入の現在、200mlで2000円など
かさばるし、重い
- かさばるので買い置き保管用のスペースが必要
- 液体なので重く、買ってくるのが大変
現状国産品がないので、日本人に合うものか微妙
- 日本と海外では、添加物の規制内容も違うのでやや不安
- 欧米人とは消化能力も違うので、日本人の子供に合うかどうか
国産が出回るようになったら、最後のデメリットについては、考えなくてもよくなりますね。
あと、開封したら2時間で飲み切れってやつなんですが、これはもう、粉ミルクから作ったミルクも一緒ですよね。
使い切りだと直接口をつけることになるので、雑菌の繁殖が進みやすく、そのため、2時間という短い賞味期限になってしまいます。
何回か分の量が入ったものであれば、哺乳瓶に必要量を移して、残りは冷蔵保存になります。口をつけていない状態では、24〜48時間の賞味期限になるようです。
開封後、飲みきるまでは早めに消費するなり、時間でしっかり見切りをつけるように注意する必要はありますね。
液体ミルク導入によって何が変わるか?
液体ミルクによってワンオペ解消。夫が育児の即戦力に?
液体ミルクは、飲ませるまでも飲ませた後も簡単で手軽です。
夫や親(高齢者、旧世代の人間)に任せるにも安心で、協力が得られやすいので、子育てがラクになるんじゃないかと期待されています。
粉ミルクだと調乳が難しい為、夜間の授乳には向かないし、夫の協力が得られにくいし、親世代に任せるのは色々不安で、結局母親(妻)の負担が減らない。
共働きも多いのに、育児や家事は女性が大部分を負担しているワンオペが話題になり問題視されていますが、男性って、家庭の中ではなぜか指示待ち人間になってしまいますよね。
それって、よくわからないから。って言うのが原因の一つだと思います。
封開けてニップルをセットして、飲ませて、捨てるだけ。それなら、協力してもらいやすいですよね。
そもそも、「協力」が「(お手伝い)」みたいな認識になってるのも、問題なんですけどね。
とにかく、夫や幼児以上の子供、義理の親、兄弟を即戦力にできる可能性が高まりますね。
液体ミルクは災害時の授乳のストレスを軽減
液体ミルクが国内で解禁される動きになったきっかけが、2016年の熊本地震ですが、水、ガス、電気といったインフラが機能しなくなった状況では、水を沸かして作り、作ったとは滅菌消毒しないといけない粉ミルクよりも、封を開けてニップルをセットしたらすぐに飲ませられる液体ミルクの方が断然便利ですよね。
粉ミルクって、災害時向きの商品じゃないんですよね。
授乳はじゃあ母乳だけで。って言っても、母乳が出ない人もいるし、強度のストレス下では母乳が出なくなることもあります。
そして、母乳が出たところで、プライベート空間を保てない状況での授乳は、女性にとっては結構精神的にも来るものがあります。
自分の中に蓄積した栄養と水分を分け与えてるわけですから、普段よりも一層、身を削る必要がありますから、母体はしんどいし、継続可能性は低いですよね。
周りも、ただでさえストレス感じてるのに、赤ちゃんがお腹をすかせて長時間泣き叫ぶのは苦痛に感じるけど回避もできず解消もできず、授乳する側は周りのストレスを察して自分もストレスに感じて、全体でストレスの悪循環が生まれてしまいます。
だからミルクは必要だし、液体ミルクがなお良しなんですが、
液体で保存しておくのでかさばりますし、賞味期限が長くて1年ですから、長期保存には向かないですが、利便性を考えると、導入をためらう理由はないですよね。
液体ミルクはお金持ちしか買えない?
調べたら、母乳でなくて完ミ(完全ミルク)の人もいて、そうすると、粉ミルクは1缶が1週間で無くなるそうです。そのため、月のミルク代が1万円くらい行くみたい。液体ミルクがその2〜3倍だとすると、完全液体ミルクだと、多くて3万円??
結構な負担ですよね。今は輸入に頼るしかないので、もっと高いはずです。
国産のものが作られて、普及して、需要が多くてたくさん作られるようになって、より安く提供されるようになるとは思います。
それでも高いと思うけど。
もし賞味期限間近になったら、低所得者層向けに配るというのはどうでしょうか?
税金で買ったのなら、納税者に与えて悪いことはなくないですか?
賞味期限が残す2ヶ月くらいになったら、備蓄から降ろし、値引きして売り出す。それも、争奪にならないように、年収に反比例する数を支給して、代金は源泉徴収するとか。そこはもう国の管理にして、ちゃんと住民登録して納税してたら(収入低くて免税の人も対象にして)、支給数を一年分お知らせして、好きなタイミングで好きな数(一回の支給数は上限設定)を取りに来てもらう。
そんな仕組みどうでしょうか。
災害時も、普段の授乳にも、困らないように考えてみました。
要は、導入の仕方次第かなと思います。
収入低くても液体ミルク使えたら、余暇が生まれて、多少空いた時間で、副業できたり勉強して自分の価値を上げられたりで、結果収入を増やす可能性が高まります。生産性も高まって、景気も良くなるかも?そうやって、日本の所得を全体的に上げられた方が、日本全体にとって良くないでしょうか?
液体ミルクの相場、低くなるといいですよね。
ミルクの選択肢が増えることで、心身の負担が減る?
液体ミルク導入したい家庭は、共働きで出来るだけ全てを自担にしたかったり、収入はそう多くないけど時間労働なので手間をかけられなかったり、という状況かと予想します。
あくせく時間労働して、1時間以上かけて出勤して帰宅して、途中買い物したりして、帰って来たら家事してオムツ替えてお風呂入れてミルク作って、哺乳瓶消毒して。の繰り返しで消耗して、ワンオペの場合は家族の力も借りられなくて、粉ミルクから作る余裕ないから母乳にしようと思っても、母乳は思うように出なくて、なんで出ないんだろう・・・って精神的にも追い詰められて。
状況を打開したくても、勉強や副業も、精神的ストレスを解消するための時間もお金もないし、では、お先真っ暗と思いがちじゃないでしょうか?
液体ミルクを導入することで、今までより支出は増え、金銭的余裕はなくなります。
でも、余暇で勉強とか副業とかできて、収入は増やせるかもしれないし、少し落ち着いて飲み物を飲んだり、ゆっくりお風呂に入る時間が作れて、英気を養えて、また頑張ろうと思えます。
夜は液体ミルクにすることで、夜は交代制で赤ちゃんの授乳に対応する、なんてこともやりやすくなります。
育児上の負担が減るので、夫婦や家族の関係が悪化する芽も減らせると思います。
具合が悪いときに無理して粉ミルク作る必要も無くなります。
全部を液体ミルクにするのは、現実的ではないですが、授乳の仕方を組み合わせることで、いろんなことにフレキシブルに対応できるようになって、誰か一人だけに育児の負担が集中することや、育児か短時間のパートでしか働けないなんて状況は回避できるのでは、と思っています。
飲み残しが危ない?
液体ミルクについて調べると、「飲み残しを飲ませて雑菌繁殖したミルクを飲ませる可能性がある」って言うことがリスク・デメリットとして書かれていることが多いんですけど、
私はそれって、すごく疑問なんですよね。
だって、それは、粉ミルクの場合だって同じじゃないですか。
飲み残しを飲ませるかどうかは、本人の意識の問題ですよね。
こんなことで液体ミルクが否定されるのはおかしいと思います。
海外での乳児用ミルク事情
欧米では1970年代に液体ミルクが普及したそうです。それぞれ見ていきます。
ヨーロッパでは
欧州では液体ミルクも粉ミルクも主流でだそうです。
フィンランドでは、液体ミルクを常用する人が9割とのこと。個を尊重する北欧らしさでしょうか。利便性が高く評価されているようです。熊本地震で液体ミルクを送ってくれたのもフィンランドですね。
フィンランドといえば、出産時におくるみやスタイ、ロンパースなど、育児に必要なグッズを国が支給してくれる制度が有名ですね。育休が取りやすくて、男性の育児参加率も高いそうですが、国をあげての出産・育児を支える仕組みが整って、社会全体がそれを受け入れる風潮が育っているからかと思います。
日本もそうなるといいですよね。。。
アメリカでは
米国では粉ミルクが7割、液体ミルク(濃縮含む)が3割だそうです。
出産時に、病院かネット申し込みで、液体ミルクのサンプルをたくさんもらえるそうです。どれを飲んでくれるかわからないので、この仕組みはありがたいですよね。
液体ミルク使ってみたいけど、実際どうかな、って試してみたいですしね。
購入に関しては、WICやスナップ(旧フードスタンプ)を利用できるみたいです。
日本でも、子ども手当とか言って半端な金額をばらまくより、食品や日用品しか買えない仮想通貨でも配った方が、正しい用途に使ってもらえていいんじゃないでしょうか・・・
日本での乳児用ミルク事情
液体ミルクの製造・販売は、現状ではできないです。
理由は、液体ミルクには、安全性を保証する規格基準が定められていないためです。
WHOコードというものもあり、海外からの参入も難しく、国内ではほとんど流通していなかったようです。
売れなければ作っても意味がないため作らないですしね。
なので、主流は粉ミルクですね。
粉ミルクにも缶入りと、使い切りのスティックタイプ、キューブタイプがあるようです。
キューブタイプは粉のようにこぼれなくて便利!なんて理由で人気のようなんですが、カレールーやブイヨンキューブなんかもそうだけど、粉を固めるためには、余分に油脂が使われてるんですよ。
成分表見ると、「調整食用油脂」ってのが成分表の上位に来ています。含まれている割合も高いってことです。
利便性と赤ちゃんの安全、どっちを取ります・・・?
液体ミルクは加熱滅菌した後に密閉しているので無菌を保てるんで、開封後粉のまま放置する粉ミルクや、余分な油脂がたっぷりのキューブタイプよりも、安全で健康的なんじゃないかと思います。
スティックタイプであれば粉ミルクが小分けに密閉されているので安心かなと。
なので、個人的には液体ミルクか、スティックタイプの粉ミルクがオススメなのかなと思います。
これまで液体ミルクが日本で認可されない理由
液体ミルク解禁したらどうか、という話が出たのは、これが初めてではないようです。
2009年には、日本乳業協会が、液体ミルクの規格を作るように厚労省に要望を出したが、見送られたそうです。
省令改正の必要
乳児用のミルクについては、「乳等省令」で定められる必要があります。現状は、粉ミルクしか、乳児用乳として認められていなかったそうです。
そして、液体ミルクについては、なんとも定義されていなかった。そのため規格基準も設けられていなかっため、販売も製造もできなかったとのことです。
メーカーが協力的ではなかった(?)
なぜか、というと、
厚労省は、メーカーからデータ提供などでの協力が得られないことを理由に挙げているようです。
先に挙げた「日本乳業協会」ですが、各乳製品メーカーが会員としてなお連ねています。
つまり、協会は、液体ミルクの規格を作るよう要望を出したのに、データ提供はしなかったということになります。矛盾していますね。
海外メーカーの市場参入を恐れたか
もしかしたら、海外メーカーの製品がどんどん参入してくることを恐れていたのでしょうか?
解禁されたらまず、すでに商品として確立されている海外メーカーの品も売りに出されることになります。
粉ミルクでは隆盛を誇っていた国内メーカーも、液体ミルクという新しい商品では、うまく市場に入っていききれないかもしれません。その目処が立つまでは解禁したくなかった・・・なんて事情もあるのかな、なんて思ったりします。
液体ミルクはコストがかかりすぎる
液体ミルクは、製造にも輸送にも、コストがかかるようです。
そのため、価格を高く設定せざるを得ず、消費者に受け入れられるか、採算取れるくらいの売り上げがあげられるかが、開発に踏み切る判断材料の一つになります。
そこを懸念していたことも大きいと言えます。
液体ミルクを受け入れる時流を待っていた?
今、解禁に向けて第一歩を踏み出せたのは、
2度にわたる大震災(2011年東北大震災、2016年熊本地震)によって、災害時のニーズが認識されたこと、
2020年東京オリンピックに向けて海外の人間に配慮する必要が生じたこと、
という、液体ミルクを受け入れる体制が全国的に高まったタイミングだったからかもしれません。
2018年3月12日厚労省で認可されたんじゃ?
日本での液体ミルク解禁までの道
- 乳児用液体ミルクの規格基準案が出される←イマココ
- 厚労省:国の食品安全委員会の健康影響評価や意見公募(パブリックコメント)
- 省令(乳等省令)を改正し、規格基準を定める。
- 各メーカーが、容器や中身の成分などを決定(開発)
- 安全性の確認(製品の賞味期限と同じ期間、試験する必要がある)
- 消費者庁に申請し、乳児の発達に適した「特別用途食品」としての表示許可を得る
という長い道のりが必要になります。
液体ミルクはいつから日本で解禁されるか
メーカーが製品を開発した後、それが世にでるためには安全性の確認が必要で、メーカーで設定された賞味期限と同じ期間、試験する必要があるとのことですから、1年間は試験が必要になりますね。
解禁は今夏、というのはガセ(早計)で、実際には2年後という見解もあるようです。
小池百合子さんが、2020年の東京オリンピックを目指して解禁させたいと言っているようなので、それをもっての「2年後」かもしれませんが。
まとめ
いずれにせよ、日本国内での液体ミルク解禁に向けて、一歩踏み出したことは大きいですね。
赤ちゃんの健康は、お母さんやお父さんなど、保育に従事する人間の健康にも左右されます。
成分や利用する側のモラル(飲み残しを飲ませないなど)での安全性は気になりますが、保育者の負担が減って育児しやすくなるのは大歓迎ですね。
今後も液体ミルクについての動向は見守っていきたいと思います。